まかぷです、花組バウ公演「舞姫」初日を観劇しました!
号泣でした…
最近「待望の再演」の言葉が多いから、どこまで期待して良いかわからなかったのですが「本当に名作」でした。
演出の美しさと、演者さんのお芝居の良さ…数日は余韻に浸りたいほど、美しくて切ない世界でした。
「今の愛」と「百年後の日本」の天秤…重たかったぁ。
聖乃さんと美羽さんの美しさが、尚のこと物語の切なさを掻き立てていました。
初日っぽい感じもありつつ、上級生陣がドーンと構えていて素敵でした。
お話は、スーーパーーさっくり書くと
ドイツに留学した太田豊太郎(聖乃あすかさん)が現地のダンサーのエリス(美羽愛さん)と恋に堕ちるも、優秀な豊太郎は「日本国憲法を作る手助けをする(日本を近代国家にする)」という使命を負い、エリスを置いて日本に帰国する
というお話。
二つの真反対の気持ち(豊太郎の帰国せねばならない使命感とエリスとの関係)が、双方で膨れ上がるのが、苦しい、切ない!
観ていて「豊太郎は、日本のために帰国すべきかも…」と思ったタイミングで、エリスが「会いたい〜」と歌で入ってくるあたりが…「ぁぁああ゛〜!(狂)」となりました。
エリスが精神の病になってしまった時は、苦しさと共に「こうなるしか物語として完結しないよね…」とどこか冷静に納得しました。
恥ずかしながら原作は、深く知らなかったのですが…、傑作を原作としていて、脚本もしっかりしているって素晴らしいなと改めて思いました。(直前にツッコミ所が満載の「ライラック」を観てたから…笑。もちろんライラックには、ライラックの良さがあって好きよ!)
演出は、和柄の吊りものが背景でシンプル。白い紙吹雪がハラハラと落ちてくるのも綺麗で印象的でした。(全体的に先日観劇した「太平洋序曲」に、演出も時代も似ていました。)
最も切なかったのが、1幕でも2幕でも出てくる「要返し」の場面 (豊太郎が日本舞踊の扇の技をエリスに教える場面)。
1幕と2幕では、シチュエーションが全く違って。
1幕は豊太郎がエリスに扇子をプレゼントして遊びながら教えてあげる要返し(ラブラブ)、
2幕はエリスが精神の病で目もうつろな状態で、豊太郎がもう一度教えてあげる要返し。
1幕は2人の様子がCGかと思う美しさで最も印象に残ったのに、2幕は病で生気のないエリスと苦しそうな豊太郎の並びに胸が締め付けられました。
エリスは病で豊太郎のこともわからなくなっていたのに、要返しができた時に「トヨ…」と言うのだもの…号泣でした。聖乃さんが崩れ落ちる表情も脳裏に焼き付いています。
はぁ、思い出しただけで泣きそうです。
ここまで苦しくなったのは、そこまでの出演者の方々がそれぞれに素晴らしかったからで…。本当に良い作品だったなぁ。
ラストも、幕が降りてから、もう一度幕が上がって豊太郎とエリスが抱きしめ合うのが…なんて美しい作品なんだ!でした。
はぁ、宝塚の舞台って美しいなぁ。
フィナーレはなかったですが、全くフィナーレを楽しめる気分ではなかったので、作品の余韻を楽しませていただけてよかったです。
はぁー、もう何から何まで作品として美しかったです。間違いなく「My2023年の好きな作品」になります。
出演者さん
太田豊太郎:聖乃あすかさん
端正で現代的なお顔立ちが、豊太郎の先鋭的(近代的?)な思想に説得力を持たせていました。
嫌味なく、優秀でまっすぐで、良くできた人で。。。
豊太郎の人物像に一貫性があって、ずっと感情についていけました。
冬霞から少し個性が強めな男役さんになった印象で、それはそれで素敵でしたが、王道の男役としても着実にカッコよくなっていらっしゃって…進化も感じて魅力的でした。(偉そうなコメントでごめんなさい、でも本当に魅力が倍増だった!!)
そして全ての瞬間を写真に収めたくなるほど美しかったです…
エリス:美羽愛さん
愛らしくて可愛くて…豊太郎が貧乏になった時も、ずっと豊太郎を好きなことが疑いもなく素敵でした。
途中からエリスの気持ちが重いのだけど、鬱陶しくない塩梅が上手だな、と思いました。健気さ、なのかな。
最後の場面で「トヨ…」と言った時の表情が、忘れられません。
一挙一動が可愛くて、聖乃さんと美しい並びでした。
どなたと組んでも合いそうな娘役スターさん。
相沢:帆純まひろさん
豊太郎に日本に帰るように説得するお役。
お芝居が真っ直ぐで、観ている私も「豊太郎…、相沢の言う通り日本に帰ろう」となりました。
相沢は間違いなく正しいんだ…(涙)そう思わされるお芝居で素敵でした。
エリス側からしたら恨むべきお役なんだけど、帆純さんの相沢だからこそ全く恨めなくて(むしろ良いやつ)そこがまた切なさと、豊太郎の選択の難しさを倍増させていて良かったです。
芳次郎:侑輝大弥さん
ドイツに移住した画家。
素晴らしかった!美しく涙を流す姿に心が揺れました。(あそこで一筋の涙を流せるとは…天才か?!)
1幕は「俺には日本は小さい」と夢を持っていてワイルドで、セクシーだった。あれはモテる!(笑)
2幕では病に伏して「100年後の日本は、俺みたいな希望を持った人間が生きられる国になってるかな」(セリフ覚えてない)、と涙を流していて…こんなに夢を持った人間がそんなことを言い残して死ぬなんて。。
彼の死で、豊太郎も「日本を近代化しないと!」と思うのよね…、きっと。
豊太郎が岩井君に言っていた「君のやることは、多くの未来の日本人を救うことだ!」の言葉が思い出されました。豊太郎は、未来の芳次郎のような人間を救わなきゃいけないんだよ…
侑輝さんのお芝居で「エリスとの恋」と「未来の日本」の選択がより難しく、そして重たくなりました。
岩井:泉まいらさん
素敵なおとぼけキャラ!
面白くてずっと堪えていたのですが、途中から堪えきれず笑ったら、会場全体もそんな雰囲気で笑いで沸いていました。本人はいたって真面目なのが良い!
聖乃さんと同期なのも微笑ましくて。苦しい作品だったので、存在に救われました。
太田清:詩希すみれさん
豊太郎の妹。きれい!聡明な雰囲気で素敵でした。由緒ある家柄、と思わされる妹さんでした。
初日のご挨拶
聖乃さんのご挨拶は、作品の余韻を全く崩すことなく穏やかで素敵でした。
初日が空いてホッとしました、とのお話と、「お話に日本国憲法を作る話も出ますが、今日は憲法記念日でご縁だなぁと思います」とのお話が印象的でした。
あとは、
聖乃さん「ゴールデンウィークで、遠方から来て下さってる方も多いのでしょうか(ほのぼの)」
観客「(GW関係なく、いつもいるよ)」 …という雰囲気でクスクスでした。
また終始しっかりされていたのに「昔の日本男児のね…(両手の拳をにぎにぎする)………を感じて。努めてまいります」(ニュアンス)と、少しおとぼけが入って可愛らしかったです。
この世のものと思えぬ美少女が「日本男児」と言っているのも不思議でした(笑)
世界観を壊さずに可愛さもあり、素晴らしい座長さんのご挨拶でした。(記憶違いがあるかもしれません)
はい!苦しいけれど、美しさが宝塚らしくて素晴らしかったです。この作品を多くの方に観てほしいな…と思いました(偉そうなコメントですみません、でも本当に多くの人に見てほしい!)。
千秋楽まで公演が無事にありますように。
素晴らしい作品を観劇できて幸せでした♡!
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