【感想】マリー・キュリー(銀河劇場)-パワーの結晶-

観劇の感想
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まかぷです、韓国ミュージカル「マリー・キュリー」。

想像していたお話と全く違って、じわじわと衝撃を受けながら観劇しました。

 

てっきり出身や女性であることの壁を乗り越えて成功していく様子を辿るお話かと思っていたのですが、そんな簡単なお話ではなく。

むしろ、自分の失敗を認める(というか成功を取り消す?)葛藤のお話でした。

  

ポスターを見たときは“おしゃれな雰囲気なのに、緑の液体が奇妙だなぁ”と、うっすら思ったんだった。恐ろしいことよ。

   

冒頭で愛希さんのお顔を見たら「あ、愛希さん、連日泣いているのかも」というお顔をされていたので覚悟を決めましたが(笑)、後半は案の定、涙を堪えることに…

  

出演者の皆さんが魂をぶつけている舞台で、暖かさもあり、怖くもあり

友情や夫婦の絆に、心がブルブルしました

 

と言っても、明るいダンスナンバーやコミカルなシーンもあり、いろんな顔を持った舞台で面白かったです。

ストーリー

簡単に書くと、

・マリーはポーランド出身の化学者で、出身と女性であることで差別を受けながらも、優秀。

・意気投合したピエール・キュリーと結婚して、2人でラジウムという元素を発見しノーベル賞を受賞。

・ラジウムは世に多く広がるもラジウムを扱う工場の工員が次々と死亡し、ラジウムの放つ放射能が人体に悪影響があることが、うっすらとわかってくる。

・マリーは最初は悪影響を認めなかったものの、最後にラジウムの悪影響を認めて、できる限りを尽くして人生を終える

というお話。(のはず)

 

マリーと同郷のアンヌも重要人物で(フィクションの人物ようですが)、ラジウムを扱う工場で働き、被害を受ける1人。ラジウムの悪影響を世に伝えなければ!と体を張り、マリーを説得するお役でした。

感想

冒頭のマリーの「私が誰かではなく、私が何をしたかを見て下さい!」の言葉が印象的でした。

 

差別を受けて生きていたから、マリーは自分の存在価値=結果(ラジウムの発見)という心理状態になるのも無理はなくて、その結果、ラジウムの悪影響を認めるまで時間がかかってしまう。

  

セリフの言葉は覚えてないけれど「ラジウムが悪者だったら私の名は消えてしまう」と話すマリーの心情を思うと、苦しかったです。純粋な興味でラジウムを発見したのに…(涙)

  

アンヌの「あなたは、ただのマリーよ」(言葉は忘れてしまった、と言った時は心が救われました。

   

面白いなと思ったのは、史実ではマリーは最後までラジウムの悪影響を認めなかったそうで

 

だからキャッチコピーの「ありえたかもしれない、もう1人のマリー」なのかな?死因を「放射能の悪影響」と認めたマリーは、舞台版だけのようです。

    

不気味だったのは、ラジウムの悪影響がゾワゾワと判明していく過程。 

  

ラジウムが、ココ!と悪を示されるタイミングはなかったように思い(多分)、客席全員がうっすらと「やばいのでは…」と気がついている様子が、不気味でした。

  

工員の人たちの温かい絆も印象的で、だからこそ「ラジウムを舐めて付けて」と明るく歌ったナンバーの時は、嫌な予感がして怖かった。

   

演出として特に面白く感じたのは、マリーがラットの実験をする時

  

工員たちがネズミに扮して出てきて華やかな雰囲気で踊っていたのですが、

実験が失敗してネズミが倒れ、気がつくとネズミに扮していた工員が元の工員の姿で亡霊のように立ちあがる。。。怖かったけど面白かった。

  

結果的に実験のラットのようになってしまった工員たち…(涙)

   

そこからピエールも亡くなって、マリーはさらに苦しい境遇になるのですが、アンヌと支え合って立ち向かっていく姿が素敵でした。

  

マリーだけではなくて、必死に生きている登場人物それぞれが素晴らしくて個々のパワーの集合体な舞台でした。(「素晴らしい」と言うには苦しい場面も多々あり、うまい言葉が見つからないのですが)

  

あとは、作品の雰囲気が銀河劇場に合っていたのも素敵でした。

演出の鈴木裕美さんが「韓国版と大きく演出が違う」とお話しされていたので、韓国版はどんな舞台なのか気になりました。 

    

マリー・キュリー:愛希れいかさん

観るたび進化される気がして…エネルギーがすごかった。ソウルフル。声色も、若い時からおばあさんまで操って。

魂丸ごと、マリーなんだろうな。

(毎度、踊ってくれーと思ってしまうけれど、その気持ちは抑えておこう)

最後のご挨拶ではすっかりカンパニーを率いる姿に、惚れ惚れしました。

    

ピエール・キュリー:上山竜治さん

暖かい…亡霊として出てきた時はあまりの暖かな表情に、「これ以上、ピエールの表情を見たら号泣するから無理」と思って、オペラで見るのをやめました(笑)

マリーも「キュリー夫人」の立場は複雑だっただろうけれど(ノーベル賞の受賞の様子など)、あのピエールだから一緒に頑張れたんだろうな〜と思えるピエールさんでした。

    

アンヌ:清水くるみさん

とても可愛らしかった。見た目は可愛らしいのに、愛希さんのエネルギーに負けない強いエネルギーを発していて、真っ直ぐ。

アンヌの演説と説得に心揺さぶられました。

    

ルーベン:屋良朝幸さん

実に気持ちが悪かった(良い意味)。登場から、舞台の雰囲気から完全に浮いたキラキラの燕尾に金髪に驚きました。

ニコニコと素敵な声を発しているのに圧があって、新鮮な悪者。

ダンスナンバーはさすがで、見応えがありました。

ルーベンがアメリカに行ったのちに、効果音で「ドーン」と不気味な音がしたのは何を意味していたのだろう。。

   

アンサンブルの方々も、どの方にもそのお役の人生が見えるようでした。だから感情移入できました。素敵。

 

宝塚ファンとしては宇月さんの暖かな歌声を久しぶりに聴くことができてハッピーでした。(燕尾姿を見逃してしまったのが悔やまれる…!!!!)

   

    

出演者の方々の、パワーの結晶でした。

派手な舞台ではないけれど、生の舞台の面白さが詰まった作品で、観ることができてよかったです。

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