まかぷです、太平洋序曲!
素晴らしい音楽とキャストでしたが、不思議な世界でした。「海外から見た日本」で少し居心地の悪い世界だったような。。。それを体験したのが面白かったです。
<キャスト>
狂言回し:山本耕史さん
香山弥左衛門:海宝直人さん
ジョン万次郎:立石俊樹さん
お話の舞台は、鎖国時代の日本。そこからペリーが来航し、開国して経済成長に突入するところまで。
元々はブロードウェイミュージカルとのことで、「日本っぽさ」が作られているのが不思議空間でした。
舞台は、能のような木の床で(木目が日本庭園の波のようで面白い)、
舞台後方には丸い枠があり「ガイドブックに出てくる京都のお寺の窓」を連想させられるし、そこに北斎の波が映されたり、歌舞伎を模したような歌いがあったり、帝が文楽のようなお人形で表現されたり‥‥
全部がわざとらしい「日本」で少し違和感がありました。
観劇後に、山本耕史さんのコメントを拝見したら「海外のお寿司屋さんのような違和感」と話されていて、まさにそれ!!でした。
外国から見た日本を、詰め込んだ感じ。
この作り込まれた日本っぽさを本物の日本人が演じているのが、また不思議な世界でした(笑)
ストーリーは、
日本文化を交えながら淡々と歴史が辿られるので、山本耕史さんによる紙芝居(with素晴らしい音楽とキャスト)のようでした。(山本耕史さんの圧がすごい!)
この「日本文化を交えながら」とゆうのが、外国人が観ると面白いのかな。
日本人の私には、「外国から日本を見るとこんな感じなんか」とゆう点が面白かったです。
あとは、アメリカが半ば脅しをかけて日本を開国させたことや、日本が外国の言いなりで損害賠償を払わされている様子も皮肉的に描かれていて、俯瞰的な視点の作品だなと思いました。
個人的には、登場人物の心情が見えたり心揺さぶられる舞台が好きなので…、ストーリー展開は割と淡白な印象。もっと香山とジョン万次郎の心情を知りたかった〜!
そして最後は日本が滑稽に感じたというか。
経済成長に突入した日本では、みんなが口々に「NEXT」と歌っていたのですが、
その様子が、私には「長年、日本は進歩がなかったけど、アメリカのおかげで開国してアメリカを真似して発展を遂げた!」と暗に言われている気がして、
どう受け止めて良いのか、どうゆう感情になったら良いのか、戸惑いました。
また鎖国中の日本の説明は、「進歩もなく、何一つ変わらぬ作法を繰り返し続ける平和な島国。日本。」と言われ、歌では「米、おじぎ、月、お茶」(言葉は忘れました)が繰り返されていて(ここの演出、面白かった!)、将軍も金ピカのへんてこりん。
俯瞰的に見ると日本ってこんなへんてこな国なんだ(笑)と、少し悲しくなりました。
なので、最後のカーテンコールは、単純に素晴らしかった!と拍手を送ることに少し違和感があって、少し考えるタイムが欲しかったくらいです。私って、本当にこの作品の素晴らしさ、わかってる?という気持ち。
もちろんキャストが素晴らしかったので、そこに向けての拍手をしていたつもりではある。
(とゆうか、日本人がこの作品を評価するポイントはどこになるのだろう?欧米が日本にしたことを、日本もアジアに対して行った、とゆう点を改めて思い知らされるところ?)
ということで、能天気に素晴らしい!とは言いにくい世界だったのですが、ずしっとくる舞台で面白かったです。
そして楽しかったのは音楽!ソンドハイムさん。
難解で語るにも及ばないですが、耳心地が良い世界。どこか日本っぽい世界観に包まれるのが面白かったです。
時にはオペラのようなスピード感を感じる場面もあって。「リズムが」ではなくて、そのことずっと歌いますやん、とゆうか(笑)
面白かった。
そして海宝さんと立石さんの声の重なりの素敵なこと!相性が良いのかな。
大変面白かったのが、音楽が素晴らしいことで不快になる場面があったこと!
3人の海兵が少女に寄ってたかって「僕たちに温もりを〜」と美しいハーモニーで語りかける場面(芸者と勘違いしているらしい)。
言葉と音楽は素晴らしいのに、少女にお金を渡し、お花はちゃっかり返してるし。何が温もりだい!ミスサイゴンの世界を少し思い出す。
素晴らしいハーモニーと起きている事のギャップの嫌悪感。
あれは素晴らしい音楽と歌い手だからこそ生み出せる不快感でした。気持ち悪かった〜皮肉的で面白い。それなのに海兵が殺されたことに対して、日本がハイハイと賠償金を払う情けなさ…
この後からの経済成長の流れは早急に感じたけれど、意図的なのかな。
そして今の日本に至る、と。
色々不思議で、感情というより感性が刺激される舞台だったかな。
キャスト あっぱれ将軍
山本さんの存在感がすごい。先ほど書いた通り、彼が俯瞰的に舞台を見せてきている感じがして、「狂言回し」ってこうゆう人のことを言うのか!でした。
海宝さんは、お歌が思ったより少ないのが残念でしたが、和も洋も似合っていて、穏やかな歌声も魅力的。
たまてが亡くなったのは、諦めて自ら命を絶ったのだろうか…
立石さんは(…というかその前にジョン万次郎ってそんな人だったの?!と驚いたのですが、脚色されているようで)、
いつの間にやら古い日本派になっていて驚きました。スタイル抜群。
鎖国側だった香山さんと外国育ちのジョン万次郎の思考が、ペリー来航からクロスして違う方向へ向かっていく様子に、日本の混乱していた時代を感じました。
二人の思考の変化を深く知りたかったな。
そして将軍!!!朝海ひかるさん!
宝塚退団以来、初めて拝見したかも?!それが、あれがこれで、金ピカ将軍なもんだから…楽しい。。。マツケンサンバみたいでした。(冒頭は美女で登場されてたような?!お化粧どうなってるの)
将軍に元男役トップスター!へんてこだったな。でも美しくて可愛らしくて、クスクスしました。
日本でこの将軍の演出って自虐的だな、とも少し思うけれど。
と言うことで、「これが外国で描かれる日本なんだ」という意味で面白かったです。
日本が舞台の作品なのに、異文化を感じる作品でした。
数日経ってもじんわり考えています。(それが楽しい)
以上でした!
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